「生徒募集をするなら、もっと教室のことを発信しなければ」
ピアノ教室を運営していると、このように考えることがあるのではないでしょうか。
ホームページを整える。ブログを書く。SNSで発信する。体験レッスンを案内する。
教室を知っていただくために、外へ向けて発信することは大切です。
私自身も以前は、生徒募集というと「どうやって新しい方に教室を知ってもらうか」ということに意識が向いていました。
けれど、31年間教室を運営し、40年間生徒さんを指導してきて、今は少し考え方が変わりました。
これまで、兄弟姉妹で教室に通ってくださったり、保護者の方がお友達をご紹介くださったり、「○○さんから聞いて来ました」とお問い合わせをいただいたりすることが何度もありました。
振り返ってみると、私は「誰かを紹介してください」と積極的にお願いしてきたから、紹介が増えたわけではありません。
目の前にいる生徒さんを大切にする。
その子の成長を見つける。
そして、その成長を保護者の方と一緒に喜ぶ。
その積み重ねの先に、口コミや紹介があったように思います。
だから今、私はこう考えています。
生徒募集は、外に向かって発信するときに始まるのではありません。
今いる生徒さんとの毎回のレッスンから、すでに始まっています。
この記事はこのような先生におすすめです
- 広告やSNSだけに頼らない生徒募集を考えたい先生
- 口コミや紹介が自然に生まれる教室をつくりたい先生
- 生徒募集を続けることに少し疲れている先生
- 保護者との信頼を大切にした教室運営をしたい先生
- 長く愛されるピアノ教室を育てたい先生
目次
- ピアノ教室の口コミは「お願いして増やすもの」なのか
- 生徒募集は今いる生徒さんから始まっている
- 口コミが自然に広がる教室にある3つの共通点
- 「この先生なら紹介できる」と思っていただける理由
- 兄弟姉妹の入会も大切な「紹介」の一つ
- 口コミのために教育を変えない
- 広告と口コミはどちらか一つではない
- 一人の生徒さんを大切にすることが教室の未来をつくる
ピアノ教室の口コミは「お願いして増やすもの」なのか
「口コミを増やすには、どうしたらいいですか?」
生徒募集について考えると、このような疑問を持つ先生もいらっしゃると思います。
紹介キャンペーンをする。
口コミを書いていただく。
お友達を紹介してもらう。
方法はいろいろありますし、それらを否定する必要はありません。
ただ、私は少し違う角度から口コミを考えています。
40年間指導を続けてきて感じるのは、口コミは「集めるもの」というより、日々の教育と信頼の積み重ねから生まれるものだということです。
なぜなら、保護者の方がお友達に教室を紹介するということは、ご自身の大切なお友達と、そのお子さんを先生につなぐことでもあるからです。
そこには、「この先生なら安心して紹介できる」という信頼が必要です。
教室のホームページがきれいだから。
SNSのフォロワーが多いから。
それだけで、大切なお友達に紹介するとは限りません。
実際にわが子を通わせる中で、
「この先生は、うちの子をきちんと見てくれている」
「この教室に通わせてよかった」
という実感がある。
その実感があるからこそ、
「こんな教室があるよ」
と誰かに話したくなるのではないでしょうか。
生徒募集は今いる生徒さんから始まっている
以前の私は、生徒募集というと、外へ向けて行うものだと考えていました。
まだ教室を知らない方に、どうやって知っていただくか。
もちろん、それは今でも必要です。
しかし、長く教室を続けていると、もう一つの生徒募集があることに気づきます。
それは、毎週のレッスンです。
先生が一人の生徒さんにどのように向き合っているか。
生徒さんが困ったときに、どのような言葉をかけているか。
できなかったときに、結果だけで判断していないか。
小さな成長に気づいているか。
そして、その成長を保護者の方に伝えているか。
一つひとつは、生徒募集とは関係のないことのように見えるかもしれません。
けれど、それらの積み重ねによって、
「この教室に通ってよかった」
という気持ちが育ちます。
その気持ちが口コミや紹介につながり、やがて新しい生徒さんとのご縁を運んでくれることがあります。
そう考えると、生徒募集は「募集を始めよう」と決めた日に始まるのではありません。
今日の一回のレッスンから、すでに始まっているのです。
口コミが自然に広がる教室にある3つの共通点
31年間の教室運営を振り返ると、口コミや紹介が自然に生まれる教室には、いくつか共通するものがあると感じます。
1.一人ひとりの生徒さんを見ている
同じ年齢でも、生徒さんは一人ひとり違います。
すぐに弾ける子もいれば、じっくり考える子もいます。
人前で演奏することが好きな子もいれば、慎重に準備してから挑戦したい子もいます。
だから、同じ教材を使っていても、同じ言葉で指導すればよいわけではありません。
その子に今、何が必要なのか。
何に困っているのか。
どんなところが成長しているのか。
先生が一人ひとりを見ていることは、生徒さんだけでなく、保護者にも伝わります。
「大勢いる生徒の一人」ではなく、
「わが子自身を見てもらえている」
という安心感が、教室への信頼につながっていきます。
2.目に見えない成長を保護者と共有している
ピアノの成長は、弾ける曲の数だけでは測れません。
練習するようになった。
自分で楽譜を確認するようになった。
できないことから逃げずに挑戦した。
間違えても気持ちを切り替えられた。
自分の考えを先生に言えるようになった。
こうした変化も、大切な成長です。
先生がそれを見つけて、
「こんなところが変わってきましたね」
と保護者に伝える。
すると保護者は、ピアノの上達だけではなく、
「この教室で、わが子が成長している」
と感じることができます。
保護者との信頼関係は、問題が起きたときだけにつくられるものではありません。
何も問題のない毎日の中で、生徒さんの成長を共有することで、少しずつ育っていくものです。
3.先生自身が教室の教育方針を大切にしている
口コミを増やそうと思うと、
「保護者にもっと喜んでもらわなければ」
と考えてしまうことがあります。
しかし、何でも希望に合わせることが信頼ではありません。
先生自身が、
「この教室では、子どもの何を育てたいのか」
という軸を持つことも大切です。
私は、音楽教室はピアノを教えるだけの場所ではなく、人を育てる場所だと考えています。
考える力。
継続する力。
挑戦する力。
感謝する心。
失敗したあとに、もう一度取り組む力。
そうしたものも音楽教育を通して育てていきたいと思っています。
教室の考え方が日々のレッスンに表れていれば、その価値観に共感してくださる保護者が少しずつ増えていきます。
そして、その保護者が、
「こういう考え方の先生なの」
と教室のことを誰かに伝えてくださる。
これは、とても価値のある口コミだと思います。
「この先生なら紹介できる」と思っていただける理由
口コミで大切なのは、単に「満足している」ということだけではないと私は思っています。
紹介には、もう一歩深い信頼が必要です。
自分の子どもを任せてよかった。
だから、大切な友人の子どもも安心して任せられる。
そこまで思っていただいて、初めて紹介という行動につながります。
そのために、特別なサービスを増やす必要はありません。
約束したことを守る。
連絡を丁寧にする。
生徒さんの話をよく聞く。
保護者の考えにも耳を傾ける。
必要なことはきちんと説明する。
そして何より、生徒さんの成長に責任を持って向き合う。
こうした日常の積み重ねのほうが大切です。
信頼とは、大きな出来事によって突然生まれるものではありません。
「この先生なら安心」
という小さな確認を何度も重ねながら、育っていくものなのだと思います。
兄弟姉妹の入会も大切な「紹介」の一つ
私は31年間の教室運営の中で、兄弟姉妹で通ってくださるご家庭にも何度も出会ってきました。
一人目のお子さんを通わせたあと、弟さんや妹さんも任せてくださる。
これは、とてもありがたいことです。
考えてみれば、これも大きな信頼の表れです。
一人目のお子さんを何年間か通わせたうえで、
「下の子もこの先生にお願いしたい」
と思ってくださったということだからです。
兄弟姉妹であっても、性格は違います。
得意なことも違います。
音楽との向き合い方も違います。
だから私は、
「お姉ちゃんはこうだったから、妹さんも同じ」
とは考えません。
一人ひとりを別の人として見て、その子に合った関わり方を考えることが大切です。
その姿勢を保護者が感じてくださるからこそ、ご家庭との関係も長く続いていくのではないでしょうか。
口コミのために教育を変えない
ここは、とても大切にしたいところです。
口コミが生徒募集につながるからといって、口コミをもらうためにレッスンをするのではありません。
紹介していただくために保護者対応をするのでもありません。
順番を逆にしないことが大切です。
まず、教育があります。
その子に必要なレッスンをする。
その子の成長を支える。
そこから信頼が育ちます。
信頼が積み重なることで、長く通っていただける関係が生まれます。
そして、その結果の一つとして、口コミや紹介が生まれることがあります。
私が大切にしている順番は、
教育 → 信頼 → 継続 → 経営 → 売上
です。
売上は教室を続けるために必要です。
けれども、売上を最初に置いてしまうと、教育のあり方まで変わってしまうことがあります。
教育を大切にする。
信頼を育てる。
生徒さんが長く通える教室をつくる。
その結果として経営が安定し、教室を続けることができる。
私は、その順番を大切にしたいと思っています。
口コミも、その流れの中で自然に生まれるものです。
だから、
「紹介を増やすためには何をしたらいいだろう」
と考える前に、
「今いる生徒さんに、私はどのような教育を届けられているだろう」
と考えてみてください。
そのほうが、長い目で見れば教室の土台は強くなっていくと思います。
広告と口コミはどちらか一つではない
ここまで口コミについてお話しすると、
「では、広告やSNSは必要ないのでしょうか」
と思われるかもしれません。
私は、そうは考えていません。
まだ教室を知らない方に存在を知っていただくためには、ホームページやブログ、SNSなども大切です。
広告が必要な時期もあるでしょう。
大切なのは、「広告か口コミか」という二者択一にしないことです。
外へ向けた発信は、教室を知っていただくための入口です。
口コミや紹介は、すでに教室を知っている方から信頼を渡していただく入口です。
それぞれ役割が違います。
ただ、どれほど発信を工夫しても、その先にある実際のレッスンや教室運営が伴っていなければ、長く通っていただくことは難しくなります。
だからこそ、私は外への発信と同時に、教室の内側を見ることも大切にしてほしいと思っています。
一人の生徒さんを大切にすることが教室の未来をつくる
40年間指導を続け、約700名の生徒さんと関わってきました。
31年間の教室運営では、たくさんのご家庭との出会いがありました。
そして振り返ってみると、新しいご縁の後ろには、すでに通ってくださっている生徒さんや保護者の存在があったことが何度もあります。
兄弟姉妹で通ってくださる。
お友達をご紹介くださる。
「○○さんから聞きました」とお問い合わせをいただく。
そのたびに感じるのは、口コミとは先生がお願いしてつくるものではなく、ご家庭からいただく「信頼のバトン」のようなものだということです。
誰かを紹介するということは、
「この先生なら大切な人にも紹介できる」
と思っていただけたということでもあります。
それは、教室を運営する先生にとって、とてもありがたい信頼の表現ではないでしょうか。
だから、口コミを増やしたいと思ったときほど、外ばかりを見るのではなく、目の前の生徒さんを見てみてください。
この子は今、何を頑張っているだろう。
どんなところが成長しただろう。
保護者の方に、まだ伝えられていない成長はないだろうか。
その問いから始めてみる。
それが遠回りに見えても、長く愛される教室を育てる大切な道なのではないかと、私は感じています。
口コミは集めるものではなく、教育と信頼の積み重ねから生まれるもの。
そして生徒募集は、まだ出会っていない誰かに向けて始めるものだけではありません。
今、目の前にいる一人の生徒さんとのレッスンから、すでに始まっています。
「音楽で人を育て、信頼で教室を育てる。」
一人の生徒さんを大切にすることが、一つのご家庭との信頼を育てる。
その信頼が兄弟姉妹へ、お友達へ、そしてまだ出会っていない新しい生徒さんへとつながっていくことがあります。
広告に頼らないことそのものを目的にするのではありません。
広告があっても、SNSがあっても、その中心にあるのは毎日の教育です。
先生が目の前の一人を大切にすること。
そこから始まる教室経営を、私はこれからも大切にしていきたいと思っています。
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先生の生活に合った方法で、ご一緒に学んでいただけたらうれしく思います。


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